精神科治療において、「同じ成分」は必ずしも「同じ効果」を意味しない
はじめに、ジェネリック医薬品とは何かを確認させてください。特許が切れた先発医薬品(新薬)の有効成分を同じくする、後発の医薬品です。同等の効果が期待され、薬価が抑えられるため、国(厚生労働省)はその使用を推進しており、それは医療費全体の適正化という観点から、私たちも重要な方針であると認識しています。
しかしながら、「有効成分が同じ」であっても、それが「まったく同じ薬」であることを保証するものではありません。薬が身体に吸収され、効果を発揮するまでには、以下のような多くの要素が関わります。
- 添加物(賦形剤)の違い: 薬を形作るための成分が異なることがあります。ごく稀ではありますが、この添加物に対してアレルギー反応や胃腸の不快感を生じる場合があります。
- 製法と粒子径: 有効成分の粒子の大きさや結晶の形が異なると、体内への吸収速度や血中濃度の変動パターンに微妙な差が生じる可能性があります。
- 溶解性: 錠剤が体内で溶ける速度が変われば、効果の現れ方にも影響が出ることが考えられます。
特に精神科の薬は、脳内の神経伝達物質という、非常に微細なバランスに作用します。てんびんのごとき心の安定を目指す治療において、この「微妙な差」が、「よく効く」と「やや不安定」 の違いとして感じられることが、臨床経験上、少なからずあるのです。
当院が「質の高いジェネリック」にこだわる理由は、ここにあります。単に薬価を下げるだけでなく、「この患者さんの病態と体質に、最もフィットする製剤はどれか」 を常に問い続け、選択の幅を持つことが、真に質の高い医療を提供する責務だと考えています。