■ 基本情報
- 商品名:セリンクロ®
- 一般名:ナルメフェン(Nalmefene)
- 薬効分類:オピオイド受容体調節薬
- 販売:ルンドベック社(日本では大日本住友製薬など)
ナルトレキソンとの比較
| 特徴 | セリンクロ(ナルメフェン) | ナルトレキソン |
|---|---|---|
| 分類 | オピオイド受容体モジュレーター | オピオイド受容体拮抗薬 |
| 主な作用 | μ受容体拮抗、κ受容体部分作動・拮抗 | μ受容体強力拮抗 |
| 薬の目的 | 飲酒量を減らす(減酒療法) | 断酒維持(完全禁酒) |
| 投与方法 | 飲酒しそうな当日だけ内服(1回1錠) | 毎日内服 |
| 半減期 | 約12時間 | 約4時間(ただし活性代謝物は長い) |
| 保険適用(日本) | アルコール依存症における飲酒量低減 | アルコール依存症における断酒維持 |
| 主な副作用 | めまい、悪心、不眠、幻視(少数) | 肝障害、倦怠感、悪心 |
| 代謝 | 主に肝臓(CYP系ではない) | 肝臓(CYP2D6経路) |
| 禁忌 | 急性アルコール離脱状態、重度肝障害など | オピオイド使用中、重度肝障害など |
ナルトレキソン:
→ 「もう飲んだら快感がなくなるから、飲まないようにしよう」
→ 断酒志向の治療薬
セリンクロ(ナルメフェン):
→ 「飲む回数・量を減らしていこう」
→ 減酒志向の治療薬
→ “飲酒直前に1錠だけ服用”という点が特徴的
セリンクロの使い方(例)
- 「今日は飲みそうだな」と思った時に、
→ 飲酒の**1〜2時間前に1錠(18mg)**を服用。 - 飲酒しない日は飲まない。
- 服用後は飲んでも酔いにくく、満足感が下がる。
→ 結果として、飲酒量が徐々に減る。
効果のメカニズム
- μ受容体拮抗 → 快感・報酬感の遮断
- κ受容体部分作動/拮抗 → ストレスや渇望を緩和
→ 「ストレスで飲む」タイプの人にも効果があるとされます。
実臨床での位置づけ
- 断酒が難しい人(職場・人付き合いなどで飲酒が避けられない場合)に現実的な選択肢。
- ヨーロッパでは「減酒治療の第1選択薬」として広く使われています。
- 日本ではまだ使用者は少ないものの、依存症治療の柔軟なアプローチとして注目されています。